発酵漬物

乳酸菌を利用した漬物

発酵漬物作りには乳酸菌と発酵温度

乳酸菌添加の効果

 キャベツを千切りして、キャベツ重量の2%の食塩と1%の乳酸菌培養液、他方には乳酸菌液の代わりに生理食塩水を加えて15℃で漬けました

 左は乳酸菌を添加したもので、右は乳酸菌無添加のものです。無添加のキャベツは色がくすみ外観が悪くなっています。

 皿上の試験紙は亜硝酸テスターで、亜硝酸が多いと赤色が強くなります。無添加の漬液からは100ppm以上の亜硝酸が検出されました。

 

 漬け込み4日後の乳酸菌の数を調べました。乳酸菌は培地中の炭酸カルシウムを溶かして周りに透明環を作ります。左は乳酸菌添加区のものですべてが乳酸菌です。しかし、右の乳酸菌無添加のものはキャベツ由来の乳酸菌がかなり増えていますが、雑菌が混じっています。

 

 右の乳酸菌無添加のものからは大腸菌群が検出されました。X-GAL培地で大腸菌群は青緑色のコロニーを作ります。左の乳酸菌を添加したキャベツ浅漬の漬液からは青緑色のコロニーを含めて他のコロニーも全く出現しません。乳酸菌無添加のキャベツ浅漬けの色が悪いのはこのような雑菌が漬け込み中に増えてしまったからです。雑菌によっては異味異臭を作り、漬物の品質を落とします。

 

発酵漬物作りには乳酸菌培養液を使います。

 

雑菌に対する発酵温度の影響

      15℃            25℃

 同じ数の大腸菌群やグラム陰性菌を含むサンプルを15℃と25℃で培養しました。

 25℃に置いた場合、増殖が速やかで2日後には多くのコロニーが見えますが、同時期の15℃ではわずかな増殖です。この温度では大腸菌群やグラム陰性菌(腐敗菌)の増殖を完全に止めることはできませんが、増殖速度は明らかに遅くなります。

 腐敗菌や大腸菌群は酸性環境に弱いので、この温度帯で早く増殖する乳酸菌を使えば悪玉菌の増殖を完全に止めることができます。

発酵漬物作りは15℃で仕込みます。

 

乳酸菌を使って15℃前後で発酵させると失敗なく発酵漬物ができます。

次は乳酸菌液の作り方を紹介します。